AGA(Androgenetic Alopecia:男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響によって起こる脱毛症で、日本人男性の約3割が何らかの程度で発症すると言われています。「薄毛は遺伝だから仕方ない」と諦めている方も多いですが、現在では有効な治療法が確立されており、早期に対処することで進行を大幅に遅らせることが可能です。
AGAとはどんな病気か
AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5α還元酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで発症します。DHTが毛根の毛乳頭細胞にある受容体と結合すると、毛周期が乱れ、成長期が短縮されてしまいます。その結果、毛が太く長く育つ前に抜けてしまうため、徐々に産毛化・細毛化が進みます。
AGAには特徴的な進行パターンがあり、「ハミルトン・ノーウッド分類」という7段階のスケールで評価されます。一般的には生え際の後退や頭頂部の薄毛から始まり、進行とともに広がっていきます。
AGA治療の主な種類
内服薬(フィナステリド・デュタステリド)
現在AGA治療の中心となっているのが、5α還元酵素阻害薬です。フィナステリド(商品名:プロペシア等)はI型・II型の5α還元酵素を阻害し、デュタステリド(商品名:ザガーロ等)はI型・II型・III型すべてを阻害します。服用することでDHTの産生を抑制し、毛周期を正常化させる効果があります。効果が出るまで3〜6ヶ月程度の継続が必要です。
外用薬(ミノキシジル)
ミノキシジルは毛細血管を拡張して毛根への血流を増加させ、毛母細胞の増殖を促す成分です。市販の育毛剤にも配合されていますが、クリニックでは高濃度のものを処方できます。内服薬との併用でより高い効果が期待できます。
自毛植毛
後頭部・側頭部など薄毛が進行しにくい部位の毛根を採取し、薄毛部分に移植する外科的手術です。移植した毛は半永久的に生え続けるため、根本的な解決策と言えますが、費用が高く(50〜200万円程度)、手術なので身体的負担もあります。
AGAクリニックでの受診の流れ
AGAクリニックを受診する際の一般的な流れは以下のとおりです。
- 1. カウンセリング・問診:脱毛の状態や進行具合、家族歴、生活習慣などを確認します
- 2. 頭皮診断:マイクロスコープや専用機器を使って毛根・頭皮の状態を詳しく調べます
- 3. 診断・治療方針の説明:AGAのステージを判定し、最適な治療プランと費用の説明があります
- 4. 処方・施術:内服薬の処方または外用薬の提供、必要に応じて施術が行われます
- 5. 経過観察:3〜6ヶ月ごとに通院して効果を確認します
費用の目安
AGA治療の費用はクリニックや治療法によって異なりますが、おおよその目安は以下のとおりです。
- フィナステリド(1ヶ月):3,000〜8,000円程度
- デュタステリド(1ヶ月):5,000〜12,000円程度
- ミノキシジル外用薬(1ヶ月):2,000〜5,000円程度
AGA治療薬は自由診療(保険適用外)のため、全額自己負担となります。ただし、クリニックによって価格設定が大きく異なりますので、複数のクリニックでカウンセリングを受けて比較することをおすすめします。
受診のタイミングと注意点
AGAは早期に対処するほど効果が出やすいため、「抜け毛が増えた」「生え際が後退してきた」と感じたら早めに専門医に相談することが大切です。市販の育毛剤を長期間試して効果が出ない場合も、クリニックへの受診を検討してください。
なお、AGAの診断・治療については、日本皮膚科学会が診療ガイドラインを公表しており、科学的根拠に基づいた治療が推奨されています。